足が不自由な人にとって、セグウェイは第3の足となるか?
以前から気になっていたところ、偶然にセグウェイ試乗体験イベントを発見!さっそく乗ってみました。

セグウェイは、ハンドルバーにはアクセルもブレーキもなく、体重移動による直感的操作で前進・後進・速度調節を行う電動立ち乗り二輪車です。

つま先に体重移動をすると前に進み、かかとに体重移動をすると止まります。
さらにかかとへの体重移動を行うと、後に進みます。
行きたい方向に体を傾けると、そちら側に方向転換します。
前や後ろに体重移動をより大きくすると、スピードアップします。
止まった状態で大きく片方に体重を傾けると、その場で180度方向転換します。

ハンドルをもつと、ついハンドルで操作をしたくなりますが、そこはぐっとガマンです。

試乗体験では、始めに乗り方を簡単に教わり、あとは実践あるのみ。
5分程度の乗車でしたが、ランニング程度の速さで8の字走行ができる程度には乗りこなすことができました。

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さて、この乗り物、足の不自由な方にとって、夢の乗り物になるのでしょうか?
医学的な視点から検証してみたいと思います。

まず、セグウェイを乗りこなすにはどのような運動能力が必要でしょうか。

1.立位保持ができるだけの足・体幹筋力
立って乗る乗り物なので、立ち続ける筋力は必要だと思います。
具体的には、体幹をある程度真っ直ぐ保持できる体幹筋力が必要でしょう。
また、体重をかけても足を踏ん張っていられる足の筋力が必要でしょう。

2.ハンドルバーを握る能力
手の力はそれほど必要ありません。
ただし、方向転換をするときに体を傾けた状態で保持できるよう、最低でも片方の手の筋力は多少必要だと思います。
両手の麻痺や、著明な筋力低下があれば難しいかもしれません。
また、拘縮等によりハンドルバーを握るだけの柔軟性がない方も難しいかもしれません。

3.バランス能力
健常者の普通程度のバランス能力であれば問題ありません。
ただし、小脳等の障害により平衡感覚障害がある方は難しいと思います。
また、脳血管疾患(特に右脳障害)のように重力方向が分からない、もしくはズレが生じている方は難しいと思います。
パーキンソン病のように、体が傾いたときに姿勢を立て直す能力が障害されている方(姿勢反射障害)も難しいと思います。

4.運動を切り替える能力
止まるときには、前への体重移動を後ろへの体重移動に瞬時に切り替える必要があります。
パーキンソン病のように、動こうと思ってから運動が始まるのに時間がかかってしまうという障害をお持ちの方は難しいと思います。

5.運動学習能力
新しい運動を学習し、それを記憶する能力が必要です。
小脳等の障害により、新しい運動を記憶する能力(手続き記憶)が障害されている方は難しいと思います。

6.二重課題遂行能力
セグウェイは意外と速度が速いため、操作をしながら周囲に気を配れる能力が必要です。
広範囲の脳の障害により集中力が持続できなかったり、2つのことを同時に行おうとすると片方へ注意が向かないといった注意障害がある方は難しいかもしれません。

数えだすと他にもたくさんの能力が必要です。
それらをクリアしないと実用的な移動手段として活動できないのか?
はい。安全を配慮するなら、それはそうだと思います。

では、障がいがある方にとって、セグウェイは全く意味をなさないのでしょうか?
いえ、そんなことはありません。

確かに、脳血管疾患やパーキンソン病といった中枢神経障害は難しいかもしれません。
注意障害や失行といった高次脳機能障害がある方も難しいかもしれません。
また、立位保持ができないほどの筋力低下や痛みがある人も難しいかもしれません。
しかし、裏を返せば、そのような症状はないけれど歩くのが難しいという方には非常に有効な移動手段であると思います。

たとえば・・・

1.内科疾患等により長期臥床が続き、全身的に筋力が落ちてしまった方
     (消化器疾患・腎疾患・自己免疫疾患等による入院後の廃用症候群など)
2.心疾患・肺疾患等により全身持久力が落ちてしまった方
  (狭心症・心筋梗塞・慢性閉塞性肺疾患(COPD)など)
3.下肢の骨折や変形性関節症により局所的に下肢の筋力が低下している方
  (大腿骨頚部骨折・変形性膝関節症・変形性股関節症・関節リウマチ・後縦靱帯骨化症など)
4.筋疾患により軽度の筋力低下が生じている方
  (進行性筋ジストロフィー・多発性筋炎・皮膚筋炎・重症筋無力症など)
5.末梢神経障害により軽度の筋力低下が生じている方
  (糖尿病・筋萎縮性側索硬化症・ギランバレー症候群・急性灰白髄炎(ポリオ)・ポリオ後症候群など)
6.切断後、義足を利用しているが長距離歩行は難しい方
  (交通事故・外傷等による下肢切断・糖尿病による切断など)

などなど、適応はもっともっと広いはず!
万人に合う乗り物はないかもしれないけれど、これがあれば助かる人は必ずいます。
道具は使い方とアイデア次第!

福祉用具というと、どうしても「車椅子」とか「杖」とか「シニアカー」を想像してしまいますが、適応さえしっかり判定し、環境さえ整えばセグウェイが大活躍する場面もきっとあるはず!
いつか、セグウェイかこれに類似する乗り物が街中でも乗れるバリアフリーな環境が整えばいいなと思います。



Sea級グルメ・セグウェイ (24) (1024x768)
始めはこわごわ乗りました・・・

Sea級グルメ・セグウェイ (31) (1024x768)
すぐに慣れて、スピードアップや方向転換も自由自在!

Sea級グルメ・セグウェイ (63) (1024x768)
こちらはロードタイプ。細いタイヤが特徴です。
街中のコンクリートなど平らな道では重宝しそうです。

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こちらはオフロードタイプ。
草原や砂利道で活躍しそうです。
これくらいの子どもでも乗りこなしてました。
いや、子どもだから乗りこなせるのかもしれませんが・・・。
(いわゆる運動神経のニブイ方は、乗りこなすのにちょっと時間が必要そうな様子でした・・・)